2019年12月9日
日本広告審査機構 御中
日本色覚差別撤廃の会
ネオ・ダルトン社「機能性色覚レンズ」の広告表示に関する申立て
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて早速ですが、標記の製品についてはネオ・ダルトン社にてかねてより製造、販売されています(同社の下記公式サイトをご参照ください。特に「レンズの効果範囲」「色覚レンズ原理」のページ)。 http://www.neo-dalton.com/
この製品はフレームに装着されメガネ製品として、主にメガネ販売事業者より最終消費者へ販売されていますが、これらを購入、使用する者にとっては、以下のような疑義を抱かせるところです。
1)まず前提となる表示として、同社のサイト上で「色覚異常の人」の「98.2%の人達のタイプの内訳」として2つを掲示しています。これはいずれも色彩論ないし眼科学上いわゆる1型色覚(赤の識別に多少とも差異がある)となるが、通説では2型色覚(緑の識別に多少とも差異がある)の方が1型色覚よりも3倍以上多いとされています(ちなみにこの2つの型でほぼすべてを占めます)。つまり、1型色覚は全体のせいぜい25%程度どまりとされているにもかかわらず、特段の論証もなく98.2%と掲示しているのは、およそ非科学的といわざるをえません。
このような面妖な掲示をあえてする理由は、次のような販促の動機と考えられます。
2)同社の「機能性色覚レンズ」とはそもそも、上記の珍奇な前提に基づきながら、主に緑の色覚に対してフィルターをかけ、相対的に弱い赤の色覚とのバランスを図ることで、色の見分け方を向上できる、という触れ込みの代物です。このフィルターによってレンズの装着中は当然ながら色の見え方が多少とも変化し、1型色覚者(全体の25%程度)のさらに一部では色の識別が多少とも容易になることはありうるとしても(これ自体も眼科的な実証的事実としては寡聞の話)、大多数の2型色覚者への効果はさらに原理的にきわめて疑わしいものです。科学的・合理的な根拠(エビデンス)を示すことなく、サイト上で「98%の人に有効」と大書しているのは、効果を蔑ろに当事者の過度の期待をあおり、ひたすら販促を図ろうとする軽挙妄動と思わざるをえません。
以上、少なくとも「優良誤認」を招く「誇大広告・不当表示」ではないでしょうか?
ちなみに、先に同社の社長と面談した折には上記の疑問点には的確な説明はなく、その後の文書照会にも一切応答なし、沈黙を続けたままです。
貴機構におかれてましては、取り急ぎ以上の実態を十分に把握され、適切かつ迅速なる審議・措置を講じていただけますよう、衷心よりお願いする次第です。
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