2024229

フジテレビジョン

「君が心をくれたから」番組責任者 様

 

「君が心をくれたから」における

色覚に関する番組内容への照会

 

日本色覚差別撤廃の会

会長 小田 愛治

 

私たち日本色覚差別撤廃の会は、色覚に差異のある者の有する能力が正当に評価され、その社会生活が向上することを目的に活動している当事者・家族の団体です。

日本社会では戦前より、学校をはじめ広く色覚検査が制度的に実施され、検査表の誤読者を「色盲」ないし「色覚異常」としてきました。その色覚当事者は「色の判別ができない」「間違った色判断をする」との誤った認識が浸透し、進学時に制限がなされ、多くの職業から排除されていました。1980年代半ばより、このことが誤った思い込みによる偏見であり、職業差別をはじめとする重大な人権侵害であるとの理解が深まり、多くの方々の努力によって徐々に問い直されてきた歴史があります。

さて、貴局で放送中であるドラマ「君が心をくれたから」では、色覚を扱っておられますがその描写等について疑問を持っています。

 

疑問の一つは、当事者の色覚の描写です。

朝野太陽が自分の色覚について次のようなセリフを言います。

・「俺の目、赤い色を感じることが出来ないんだ。だって俺は色を判別できないんだ」(第1話)

・「あの日『夕日がきれいだ』と言われた時、俺そのきれいさが分からなかったんだ。この目じゃ、赤はくすんだ緑色だから」(第3話)

色覚の差異はいわば百人百様で多種多様ですが、科学的知見ではおよそ「赤を感じない」とか「色判別が出来ない」とか「赤が緑に見える」ことはありえないとされています。

また、太陽が横断歩道の赤信号を見誤って交通事故に遭遇します。(第1話)

多くの当事者が自動車運転免許を取得し日々の生活でこれを利用していますが、色覚が原因とされる交通事故の発生を聞いたことがありません。

なぜ以上のような描写をされるのでしょうか?

 

もう一つの疑問は、「色覚障害者」という言葉の使用についてです。(第1話)

2017年、日本遺伝学会は「色覚異常」という用語を「色覚多様性」と呼称するとし、色覚の差異は人が持つ個体差の一種であり、「異常」とか「障害」とするのは適当でないとの学問的見解を示しました。番組で多様性、個性としての違いを「障害」という言葉でなぜ表現されるのでしょうか?

 

テレビドラマで色覚を取り上げられること自体には異議はありませんが、不用意にその扱いを誤れば、視聴者への間違ったメッセージを伝えることになり、日本社会に根強く残る色覚の差異への偏見を助長させる心配をするものです。

貴局のご見解を3月13日まで必着で、下記宛にメールでお伝えください。

この件についてのご質問等があれば、同じく下記までご連絡ください。よろしくお願いします。

 

                  日本色覚差別撤廃の会 事務局

               【メール】tetpainokai@gmail.com