2021年 4月5日
国土交通省航空局安全部
安全企画課 小熊 弘明 課長
日本色覚差別撤廃の会
会長 荒 伸 直
無人航空機に関する航空法等改正について(要望)
先日は無人航空機の操縦資格における色覚の要件に関する本会の照会に対して、ご丁寧な回答をいただき感謝いたします。回答によりますと運用に関する詳細は今後省令等において規定されるとのことですので、それらに関連する事項について当事者団体として以下のとおり要望をさせていただきます。
色覚の差異はヒトがもつ多様性の一種であり、かつ色覚当事者の大半は日常生活でとくに支障のないにもかかわらず「色が見えない」などの誤解や偏見にさらされ、多くの進学・就職の機会から排除されてきました。また就職時には、職業適性を判断する手段として眼科的色覚検査の結果を用いるという大きな過ちを犯してきました。このことが何ら根拠のない誤った思い込みによる人権侵害であることが明らかにされ、法的に否定されたのが2001(平成13)年の労働安全衛生規則の改正であり、この改正で雇入時健康診断における眼科的色覚検査が廃止されました。厚生労働省は改正の根拠として「知見の蓄積により、色覚検査において異常と判別される方であっても、大半は支障なく業務を行うことが可能であることが明らかになってきている」等を挙げています。また留意事項では「色覚検査は現場における職務遂行能力を反映するものではないことに十分な注意が必要です。検査を行う場合でも、各事業所で用いられている色の判別が可能か否かを確認することで十分です」としています。
今回の無人航空機に関する新制度においても、歴史の反省から生まれた前述の趣旨がぜひとも生かされるべきです。回答によりますと、身体検査の色覚については「異常事態発生時に、無人航空機や操作コントローラーに表示される警告灯を的確に把握することが必要である」とのことですが、この警告灯を的確に把握できるか否かを調べる判定方法のあり方について、人権尊重と安全性確保の観点から以下の要望をいたします。
1、 安全操作上で警告灯に対する所定の色彩識別力が必要不可欠であるとエビデンスを持って判断されるのであれば、現物(あるいはそれに類するもの)を使用しての判定を実施することとし、それらとは本質的に無関係である眼科的色覚検査は実施しないこと。
2、 警告灯など安全上必要な基準については、色覚多様性を尊重した誰でもが見やすく判断しやすいカラーユニバーサルデザイン(色彩、形状など)に十分に配慮した基準とすること。
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